遊記レビュー[何仙姑成仙]
◆何仙姑の生い立ちの巻

何仙姑という者は、広州の増城県、何素の娘であった。生まれた時、頭のてっぺんにうぶ毛が六本生えていた。

 うん、漢鐘離に比べて、生まれた時の状況がめっちゃ普通。安心した。
 八仙唯一の女仙である何仙姑ですが、「東遊記」だとここの部分は僅か二ページしか割かれてなくて残念です。この後の話の中だと結構絡んで来たりするんですが、単体だと難しいのか…。
 そんなわけで、ここはさくっとご経歴だけです。彼女は唐の武后の時、雲母の流れる渓谷に住んでいました。十四、五歳になった頃に夢に現れた神様から「雲母の粉を食べれば、身が軽くなり、死ぬこともなかろう。」と告げられます。それから毎日雲母の粉を食べ続けると、だんだん身が軽やかになっていきました。
 年頃になった娘に、母は婿を選ばせようとしましたが一切受け付けず、ある日渓谷で会った李鉄拐と藍采和に、何仙姑は仙人になる秘訣を伝授されます。
 走れば飛ぶように早く、朝に出かけて、夕方には家に戻ります。お土産に山の果物や海のものなど珍しいものを持ってくる娘に対し、母は疑問を抱きます。ある日、毎日どこに行っているのか聞くと、ただ名山の仙境に行って、女仙と道について論じ合っているだけですと答えました。成長するにつれ、ますます人と違う言動をする何仙姑の噂を、武后が聞きつけ召そうとします。使いと共に大人しくついて行くのかと思いきや、京が見えたところで忽然と姿を消してしまいます。八方手を尽くして跡を追いましたが、見失ってしまったのでした。

 景龍(唐の中宗李顕の治世。707年-710年頃)の時、李鉄拐に導かれて仙人となったと言われています。また、天宝九年には麻姑壇の五色の雲の中で、大歴の時には、広州の小さな石楼に現れてたという目撃情報も……。

2011/11/30

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天界のとある「禁」を犯してしまい、
下界に追放されてしまった一人の天才笛吹き。
水面下で起こる驚天動地の事変に巻き込まれながらも、
幼い兄妹をお供に連れて「人探し」の旅を続けていた。

この物語は仮想中華をテーマとしたファンタジーです。
「東遊記」のオマージュ要素を含みます。
史実との関連性は全くありません。
引用された実在の名前も、物語では設定が異なります。
実際の「東遊記(エリート出版社)」や八仙については、
「東遊記About」をご覧ください。

● 本編(朔月と笛吹き)
序章「うさ耳美少女誕生秘話」
一話「ハロゥワーク」本文32p
二話「天才天子穆王」本文33p
三話「嵐の前の静かな笛」本文35p
四話「舞萩の言祝」本文46p
五話「藍采和師父」本文32p
六話「豊邑の崖」本文37p
七話「地竺の国の美美」サンプル26p
八話「意に染まぬ婚姻」サンプル12p